ソニーPS5販売を脅かす「転売屋」、買い占めで供給不足に拍車 – Bloomberg

ソニーが11月に発売した新型ゲーム機「プレイステーション(PS)5」は空前の人気を博しているが、転売を目的とした購入者の存在が、売れ行きと事業の長期的な健全性を脅かしている。

  ゲーム機を小売店で購入し、オークションサイトなどでより高い価格で再販する「転売屋」はゲーム業界にとって長年の問題となってきた。今年は新型コロナウイルス禍で生産が影響を受け販売もオンライン中心となるなか、購入手続きを自動化する「ボット」を駆使する転売屋によって供給不足はさらに深刻化した。PS5とマイクロソフトの新型「Xbox」が転売屋の対象となっている。

playstation 5 ps5 sony

  熱心なゲーム愛好家は、転売屋が小売価格のほぼ3倍の1300ドル(約13万4500円)から1400ドルでイーベイなどで再販していることに怒りをあらわにしている。あるツイッター投稿者は「これでは転売屋の思うつぼだ」と書き込み、不当に高額な価格に屈しない考えを示した。

  この脅威により、ソニーはゲームの愛好家や開発者を新しいプラットフォームに引き込む機会を逸し、今後数年間の利益に影響を及ぼす可能性がある。本来であれば、新型ゲーム機の投入により、多くのユーザーが新型機を購入し、ゲームメーカーは新たなグラフィックスやプロセッサー機能を活用した製品を作るという好循環を生むはずだった。

  米国モーニングスターの伊藤和典アナリストは、「PS5はハードとソフトの好循環に入る重要なチャンスを逃す可能性がある」と分析する。ソフトも含めたPS5全体の販売の勢いの「ピークは想定されていたよりも低くなる可能性が高く、収益はわれわれが期待するほど高くはならない」とみている。

  ゲーム機に対するソフト購買の割合を示す「タイレシオ」の低さに問題が明確に表れている。通常であればタイレシオは少なくとも約1倍だが、本体の販売では利益を出せずソフトで稼ぐPS5にとって、タイレシオの低さは大きな課題となる。これまでのところPS5のタイレシオは3台に対し1本という水準にとどまっており、転売屋による買い占めの証左となっている。

  ゲーム総合情報メディア「ファミ通」によると、発売後1カ月間のPS5の国内販売台数は約21万3000台だったのに対し、上位3ソフトのパッケージ版の合計販売本数は6万3000本に満たなかった。4年近く前に発売された任天堂「スイッチ」の場合、ゲーム機本体50万台に対し上位3ソフトの販売本数もほぼ同数だった。

ゲーム機本体に対しソフト販売振るわず

出典: ファミ通


  エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは、「近年上昇しているダウンロード版販売を考慮しても、PS5のタイレシオは非常に低い。これは現在の需要が営利目的の転売屋により制限されているためだ」と話す。PS5はPS4と互換性があるほか無料のゲームも付属するため、ユーザーがPS5専用のゲームの購入を見送っている可能性もあるという。

  ソニーを苦しめる転売屋の問題は、PS5本体の生産が苦境にあることでさらに悪化している。同社では3月末までに、前世代機であるPS4の発売当初の実績に匹敵する760万台以上のPS5販売を目指している。

  新型コロナ禍により供給網(サプライチェーン)で部品不足が発生し、ソニーや米アップルなど関連業界全体の生産能力を圧迫している。

  サプライチェーンに詳しい関係者によると、台湾のメディアテックを含む主要部品メーカーは2021年前半まで半導体の需給逼迫(ひっぱく)が緩和されることはないと予想している。電気自動車(EV)メーカーなどの強い需要でPS5向けの部品の一部が影響を受けているという。

  詳細が非公開なため匿名を条件に語った複数の関係者によると、特に懸念されるのはPS5専用に設計されたプロセッサーの歩留まりの低さが解決されておらず、需給改善が足踏み状態にある点だという。出荷を急ぐソニーはPS5を店舗に配送するため、想定より長い期間空輸に頼らなければならない可能性があり、さらに利益が圧迫されることになると指摘した。

  エース経済研の安田氏は通常時であれば、空輸にかかるコストは海運より少なくとも10倍程度高いが、現在は「その差がもっと広がっている可能性がある」と指摘する。

  ソニーの広報担当者は生産に関連する詳細は公表しないとしつつも、PS5の大量生産開始以降想定外の展開はなく、生産台数は変更していないと説明した。

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